マフィアも恐れる伝説の殺し屋、ジョン・ウィック。その血まみれの復讐劇のサントラを手掛けたのは、『300』(07)や『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』(14)などを手掛けてハリウッドで注目の作曲家、タイラー・ベイツだ。ロック・バンド出身のベイツは今もロック・シーンでも活動する変わり種。映画でマリリン・マンソンの「キリング・ストレンジャーズ」を使いたいと思ったチャド・スタエルスキ監督が、マンソンのアルバムをプロデュースしたベイツにコンタクトをとり、それがベイツの起用に繋がったらしい。ベイツはみずからギターやシンセを弾いて、エレクトロニックでロック・テイスト溢れるスコアを提供する一方で、クラブ・シーンで活躍するキャッスル・ヴァニアに派手なダンス・ミュージックを依頼。さらにノスタルジアというバンドで活動するゴス系美女シンガー、シスカンドラ・ノスタルジアと映画用にマンソン風の新曲「フー・ユー・トーキン・トゥー・マン?」を共作して彼女に歌わせるなど、ベイツは様々なタイプの曲を取り揃えてジョン・ウィックの孤独な闘いを盛り上げていく。ロック魂を忘れない作曲家、ベイツが総力を挙げて挑んだ<ガンフー・ミュージック>は、ジョンの怒りのように荒々しく、そして、鍛え抜かれた殺しのテクニックのようにクールだ。