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アクションのベースはロシアの特殊部隊式システマ!高橋ターヤン(ライター)

『ジョン・ウィック』で展開される格闘アクションは、ロシア軍特殊部隊の格闘術であるシステマをベースにしたものだ。システマはロシアの伝統武術をベースに、特殊部隊スペツナズ隊員が創始したCQC(Close Quarters Combat:近接戦闘)格闘術で、脱力状態からの素早く滑らかな動きで敵を無力化する特徴から、“ロシアの合気道"とも称される格闘技である。ロシアンマフィアに育てられたという設定のジョンが使う格闘術としては、まさにぴったりの殺人術だ。

また戦闘時にはシステマだけでなく、柔道の投げ技も多用する。ロシアではメジャーなスポーツである柔道。しかし畳の上で行われる競技柔道とは異なり、コンクリートや路上など実戦における柔道の投げ技は、非常に実戦的な殺人技なのである。

さらに柔道だけでなく、格闘中のレスリングのポジション取りの動き、素早い柔術技への移行、マウントポジションからのグラウンドパンチなど、様々な格闘技を組み合わせた最新MMA(Mixed Martial Arts:総合格闘技)の技術も盛り沢山となっている。

未知の殺人術、伝統的な武道、最新の格闘技が満載な本作では、格闘シーンも括目して観るべきなのだ。